女の子と変わらない身長、華奢で男らしいとは言えない体つき、ふわふわの髪に二重の大きな目。こんな見た目の僕は、生まれてきた性別を間違えたとよく周りから言われる。

「絶対女だったら人気アイドルになれたって!」

「女だったら告ってたわ〜」

そんなことを男女関係なく今日も言われる。その中の一つの言葉に、僕の耳がピクリと反応した。

「いっそさ、楓(かえで)が男だったらよかったのに〜」

楓ちゃんは、僕の幼なじみでずっと片想いをしている人だ。その名前を聞くだけで、夢がギュッと苦しくなる。

「何々?何の話よ?」

そう言い現れた楓ちゃんは、女の子の中でぐんと背が高くて男の子とあまり変わらない。髪もベリーショートで、顔も中性的な顔立ちだから知らない人が見たら男の子だと思うだろう。でも、楓ちゃんはれっきとした女の子だ。僕が一番よく知ったる。

「瑠衣(るい)〜!今日も可愛いな、あたしの弟よ!」

楓ちゃんに抱き締められ、僕は胸が高鳴る。赤くなる顔を楓ちゃんから隠し、弟と言われることに傷付く。これが僕の毎日だ。