「お前、今志帆を突き飛ばしたな?これは傷害罪にあたるぞ?」

「な、何だよお前……」

俺が警察手帳を見せると、政治家は顔を真っ青にしながら非常口から逃げていく。俺はすぐに志帆に駆け寄った。

「志帆、大丈夫か!?」

「うっ……。だ、大丈夫……」

志帆はそう言うものの、足は捻挫してしまったのか、腫れてしまっている。それにとても痛そうで、きっと歩くことは難しい。

「奏ちゃん、早く避難して?私はゆっくり行くから」

志帆は痛いはずなのに笑いかける。俺は志帆の体に腕を回し、抱き上げた。

「そ、奏ちゃん!?」

「お前一人くらい抱き上げられるんだよ。男の腕力舐めんな」

「で、でも……私がいたら……」

逃げ遅れちゃう、そう志帆が言う前に俺は口を開く。

「お前のことは全力で守るから安心しろ。お前には、俺を見守るっていう仕事があるだろうが」




ネクタイピン「見守っています」