プロローグ
あの日。野球部のマネージャーをしていた私は真夏で気温も35度を超えるという暑さの中、ボール出しをしていた。
日なたで帽子もかぶらずに動いていた私の額にはじわりと汗が浮き出ていた。

 …ふと、目の前が暗くなっていくのを感じた。

美世(みよ)!」

誰かの声が聞こえる。誰だろう、先輩…?

「___。」

その誰かに抱き起こされた私は、何かを呟いたのを最後に、朦朧(もうろう)とする意識を手放した。