隣の住人。






杏ちゃんは大号泣。

あいつに助けられた瞬間、倒れ込んでしまった…



すぐに杏ちゃんとは手を離したみたいだけど…私とは中々離してくれなかった。






『大丈夫?杏ちゃん』


と、

杏ちゃんに寄り添いたいのに…手をなかなか離れず『離して』と言ったらやっと離してくれたあいつ。




『うち来る?』

「大丈夫」

『途中まで一緒に帰ろうか?』

「タクシーで帰る」

『タクシー乗り場まで一緒に行こう』

「ありがとう、ごめんね」

『大丈夫だよ』




私も怖かったし…正直今も怖い。

けど、こいつがいるから何とか頑張れていたのかもしれない。




初めて、頼もしいと思った。


それに悔しいけど、

初めて、離れてほしくないと思ってしまった。




手を離してくれなかった件については空気を読んでほしいと思ったけど…心強かった。






「ありがとうございました」

「気をつけて帰ってね」


と、

杏ちゃんに手を振っていたあいつ…




こいつが現れてくれなかったら、今頃ホテルに連れて行かれてたのかなと思うと恐ろしかった。