「おめぇら、そんな事してて楽しいのか?」
と、
私の手を握ってきた男。
顔を見なくても、何となくわかってしまった自分が怖かったけど…初めて、頼りになった瞬間だった。
男らは、お隣の方と睨み合っていて…いかにも、喧嘩が始まりそうな雰囲気だった。
というか…
私を連れ去ろうとしていた男を殴っていた。
気づいたら、倒れ込んでいた男。
私の手を握っていた男の手は力強かった。
むしろ痛いくらいだった。
けど、
そんな事を言っている場合じゃない…
『杏ちゃんも』
そう言って、杏ちゃんを指差すと私の手を握りながら杏ちゃんの手を握って助けてくれた。

