新條の掛け声で律達は集まって円陣を組んだ。

「てめーら、表情がかてーぞ。さては、完璧に踊らなきゃと思ってるな? ……ったく、どいつもこいつも真面目だなぁ! 失敗してもいいんだ。全力で楽しむことだけ考えろ! いいな?」

「「おおおおーーー!」」

 失敗してもいい……そう思うと、緊張が和らいだ。

 ――不思議だな。新條がくれる言葉は私を変えてくれる。

 この前新條がくれたあの言葉が、また蘇る。

 ――『本来の先輩にもいいところがたくさんあるんですよ』

 それが何よりも律を励ましてくれた。 

 全校生徒、入場門から小走りで登場。
 配置につく。
 流れ始めた曲はもちろん、ダイヤモンドガール。
 律はステップを踏みながら、周りを見渡した。
 みんな、楽しそうな笑顔だ。
 踊っていると、ダンス係の出来事が頭の中で走馬灯のように駆け抜けていく。 

 ――ここは、なかなかいい振りが思いつかなくて苦労したっけ。それで新條が、振り付けのアイデアを出してくれたんだったね。

 ――Aメロはしなやかな動きだから、Bメロは力強い動きでメリハリをつけるのが良いんじゃないですか~って言ってくれて。

 一番のサビ、二番のAメロ、Bメロ……と順調に進んでいく。