その声の主が新條だった。街中だというのに変装という変装をまるでしていなかったから、新條本人だとすぐにわかった。
何度か音楽番組で共演したことがあったが、あまり接点はなかった。しかし、律にとって新條は因縁の相手だといってもいい。自分とは正反対のヤンチャなキャラで、自分と同じくアイドルランキング一位の座に就く者。
元の性格は知らないけど、ヤンチャなキャラが板についている時点で絶対に相容れない。
新條には、負けたくない。
新條が三年連続一位なら私は四年連続一位、新條が四年連続一位なら私は五年連続一位を獲ってやるんだ。
そう敵意を抱く律は新條と話なんてする気になれなかったが、ひとまずにこやかに挨拶して――尾行の存在が頭をよぎった。
今新條と写真を撮られるのはマズすぎる! そう思った律は、話を早々に切り上げ、慌てて階段を下り始めた。風邪気味で頭がぼーっとしていた。足元がふわふわとした感覚になっていた。それでも『アイドルがファンを裏切る行為をしてはならない』という自分の掟を守るために急いだ。
その時何を思ったのか新條は、律の腕を強く掴んだ。
そのせいで律は階段を踏み外した。
変装のため目深に被っていた帽子が風に攫われ、律の顔があらわになった。
律の腕を掴んだままの新條も必然的に体勢を崩した。
二人はほぼ同時に階段から落下。
何度か音楽番組で共演したことがあったが、あまり接点はなかった。しかし、律にとって新條は因縁の相手だといってもいい。自分とは正反対のヤンチャなキャラで、自分と同じくアイドルランキング一位の座に就く者。
元の性格は知らないけど、ヤンチャなキャラが板についている時点で絶対に相容れない。
新條には、負けたくない。
新條が三年連続一位なら私は四年連続一位、新條が四年連続一位なら私は五年連続一位を獲ってやるんだ。
そう敵意を抱く律は新條と話なんてする気になれなかったが、ひとまずにこやかに挨拶して――尾行の存在が頭をよぎった。
今新條と写真を撮られるのはマズすぎる! そう思った律は、話を早々に切り上げ、慌てて階段を下り始めた。風邪気味で頭がぼーっとしていた。足元がふわふわとした感覚になっていた。それでも『アイドルがファンを裏切る行為をしてはならない』という自分の掟を守るために急いだ。
その時何を思ったのか新條は、律の腕を強く掴んだ。
そのせいで律は階段を踏み外した。
変装のため目深に被っていた帽子が風に攫われ、律の顔があらわになった。
律の腕を掴んだままの新條も必然的に体勢を崩した。
二人はほぼ同時に階段から落下。


