――どうしてだろう。ここで終わるわけにはいかないのに。

「待ってください、最後まで見てください! ラストはこんなもんじゃないですよ!」

 必死な律の声が聞こえてないかのように、ため息をつき目を伏せる理事長。
 ダメだったか……と皆が呟いたその時。

「私はダンスの知識はほとんどないです。……でも、今のは少し、感動しました」
「と、いうことは?」

 新條が理事長に詰め寄る。

「ダイヤモンドガールの使用を、許可します」

 ――うそ、え、やったぁぁぁぁ!

 理事長はダイヤモンドガール使用許可証を書いてくれた。

 皆で喜ぼうとしているところへ「でもこの時間なら、全校集会が始まっていますね」と理事長が冷静に言う。
 時計を見る。確かにそうだ。

「やべーッッ! みんな急ぐぞ!」

 新條の声で、皆理事長室から大急ぎで飛び出した。

 体育館の入り口まで走って来ると、マイク越しの校長の声が響いていた。
 間に合ったかな、と律はヒヤヒヤする。

「曲を変更しない場合、体育祭のダンスは――」

 校長が命令を下そうとする直前だ!

「ちょーっと待ったぁぁぁぁぁ‼」

 ガラガラガラガシャーーーーーーーーーーーーーーーン。

 叫び、体育館のドアを派手に開ける新條。
 ダンス係全員で、全校集会に乗り込んだ。