――熱愛報道が出た直後は黙秘してたじゃない。何で今は否定してるのよ。いや……、否定してくれた方がいいんだけど、何でもっと早くそれをしなかったのよっ。

「あんな写真撮られてるのに、言い逃れできるわけないだろー」

 男子は納得していない様子だ。

 ――ああ、そうだよね。否定しても信じてもらえないよね。私もそうだったもんな。

 律は悔しさから思わず舌打ちしそうになって、我慢した。

 それにしても、見れば見るほど律と新條は対照的だ。
 芸能コースがない高校で新條は唯一の芸能人だから、一緒にいる男子たちは当然一般人だ。そういうケースは周りの生徒と仲良くなれなくて独りぼっちになってしまう、なんてこともある。けれど新條は違うらしい。
 大勢の男子の中心で、楽しそうにしている。

 男女どちらにも人気がありスクールカースト上位の新條と、地味で独りぼっちな底辺の律。

 律がトップアイドルだった時も性格の違いから対照的だと言われていたが、今は立場の差もあって違いがより際立っている。笑ってしまうくらい真逆だ。

 そんなことを考えているうちに係が全員集まり、ダンス会議は始まった。
 去年もダンス係だったという三年生の女子二人がすらすらと進行していく。