「もー、先輩が可愛すぎるからですよ」
「私のせい?」
「……言いたいことがあって戻ってきたの、忘れてた。『もっと成長した姿で、先輩を迎えに行くから待っててください』って言いたかったんですよね」

 その一言で一瞬、新條との未来が見えた気がして、律は嬉しくなった。

「でももっと言っとかねぇといけないことができたな……」
「え、何よ?」

 新條は律を抱きしめる腕にぎゅっと力を込めると、耳元で言った。

「俺と付き合ってください」

 どストレートな言葉。
 律の耳たぶが瞬時に熱くなる。心臓を鷲掴みにされた気がした。

「返事は?」
「うん、付き合う……」

 顔を真っ赤にした律がコクリと頷くと、新條は幸せそうに笑い、

「……嬉しすぎてヤバイ、夢みたい」

 そしてため息をつく。

「はぁぁぁー。せっかく両想いになれたのに、いきなり遠距離ですね。……俺がア
メリカに行ってる間、他の男に目移りしないでくださいよ」

 新條の独占欲が垣間見え思わずキュンとした律は、照れ隠しでペラペラと喋りだす。

「そっちこそ! アメリカ人のナイスバディな美女にグイグイ来られたらどーするのよ。私のことなんか忘れちゃうんじゃないの? 帰国しても迎えに来なくて、こっちから会いに行ったら『誰アンタ』とか言うんじゃ……」