桜色の歌と君。

「花咲さん歌ってよ。」

真っすぐに見つめられて、心臓が跳ね上がった。

「うまく、歌えないよ。」

宮野くんは首を横に振る。

「花咲さんの作った曲だから、想いを乗せられたもの聴いて、参考にしたいんだ。」

真剣な眼差しで言われたら、断わるわけにはいかなかった。

「わかった。目、瞑ってて。」

せめてもの思いでそう言うと、宮野くんは素直に目を閉じた。

震える手を、ゆっくりと弦に沿わせて。

温かな日差しを浴びて光るギターを、そっと鳴らした。

奏でる音に、夏の匂いをすっと吸い込んで、声を乗せる。

爽やかな青空の下で歌うと、心が優しく開かれていくように感じた。

声も手も、弱弱しく震えていたけれど、何よりも音を紡ぐのが、楽しくて。

何度も歌って、何度も泣いた曲なのに。

胸の内に温かなものが広がっていく。