桜色の歌と君。

手術、入院、休学。

聞き馴染みのない単語は、どれも現実味を帯びていなくて。

宮野くんの言葉を飲み込もうとしても、思考が追いつかない。

頭が混乱して、世界がグラグラと揺れているようだった。

「綾乃とは、中一のときに出会ったんだ。同じクラスで、前の席に座ってた。人懐っこい子で、入学してすぐに仲良くなって、いつも一緒にいるうちに、自然と好きになったんだ。」

懐かしむように目を細めた宮野くんの瞳には、きっとその頃の思い出が映っている。

綾乃さんへの想いを手に取って慈しむような姿に、胸が張り裂けそうになった。

「いわゆる両片思いだったんだよね。お互いに言わなくてもわかるくらいに好きだった。

付き合わなくても、そのままの関係性で十分楽しくて、一緒にいられるだけで幸せで。

でも、そのままでいいと思っていたのは僕だけだったんだ。」

その目に、影が落とされた。