桜色の歌と君。

「話、聞いてくれる?」

宮野くんと目が合う。

瞳が弱弱しく揺れている。

聞きたくない。

そう、思ってしまった。

「いいよ。」

そう返すしか道はなくて、宮野くんの座る段から二つ上のところに座った。

宮野くんは話すことを躊躇った。

雨が世界を打つ音だけが耳の奥で響いている。

彼の肩が、ゆっくりと上下した。

「さっきの。」

ぽつりと零した言葉に、身体が強張る。

「昴と話してたのは水谷綾乃っていう子で、昴と同じ二年生なんだけど。」

宮野くんは言葉を切った。

「中学の、同級生なんだ。」

「え」

「昴も、綾乃も、中二のときのクラスメイトだったんだ。」

同級生?クラスメイト?

昴さんは高校二年生で、宮野くんは私と同じ高校一年生のはずだ。

「中学三年のとき、一年間休学してたんだ。生まれつき心臓が弱くて。先天性心疾患っていうんだけど。小さなころに手術が成功して、その後は検査と、入退院を繰り返してた。それでも学校には通ってたんだけど、中三の時に合併症が出ちゃって。その手術も無事に終わったから、今ここにいられるんだけど。」

淡々と話す宮野くんの言葉は、耳に届いても感情に結びつくことはなかった。