桜色の歌と君。

思考が止まっていた。

初めて見た顔に、戸惑った。

慌てて宮野くんを追いかけると、彼の背中はとても遠くなっていた。

宮野くんは屋上へ続く小階段のところで足を止め、腰を下ろした。

そこで私の存在に気づいて、力なく笑った。

「ごめん。」

切なさが滲んだ表情に、声に、心臓を突かれたような気持ちになった。

泣き出しそうなその顔に、私まで泣きたくなる。

屋上の扉の向こうから、まるで世界中の音をかき消そうとしているかのように強い雨の音が聞こえる。

「雨、すごいね。」

宮野くんの声が、とても遠く感じた。

何も返せずにいる私を見て、彼は視線を床に落とす。

その目には、遠い過去が映っている気がした。