桜色の歌と君。

しばらくして宮野くんは笑うのを止めて呼吸を整えた。

目に浮かんだ涙をぬぐうと、私に向き直る。

「ここで初めて話した日の事覚えてる?」

笑いを含む声に、私は頷く。

「あんなに人見知りして緊張していた花咲さんはどこに行ったんだろう?」

宮野くんは少し首を傾げて、ふふふと笑った。

「本当、ごめんなさい。」

まだ罪悪感と羞恥心で胸がいっぱいの私は、頬に熱を感じながらまた頭を下げる。

「なんで謝るの。」宮野くんは不思議そうに目を見開きながら言って、ふわりと笑う。

「私、こんなに仲いい友達できたの、初めてで。距離感間違えてたら、ごめん。」

「そっか、うれしいな。大丈夫だよ、もっと来てもらっても全然。」

いたずらっぽく宮野くんは言った。

いつもの輝きを失わない綺麗な瞳に、安心して肩を下ろす。

「ありがとう。」

予鈴を合図に私たちは立ち上がる。

綿菓子を散りばめたような、千切れた雲が浮かぶ青空を置いて、屋上を後にした。