桜色の歌と君。

宮野くんが向かったのは、保健室ではなく屋上だった。

「保健室で先生に渡す紙とか書いてもらわなきゃいけないんじゃ・・・」

私の言葉に宮野くんはいたずらっぽく微笑む。

「保健室の先生、すごく理解のある方だから、大丈夫。帰りに適当に書いてもらおう。」

宮野くんは腰を下ろしてフェンスに寄り掛かった。その隣をコツコツと叩く。

「おいで。」

促されるまま隣に座る。

「何かあった?」

いつもに増して優しさを含む声に、堪えきれず涙が溢れた。

言葉が出てこなくて、泣くのを止めようとすればするほどに涙は出てくる。

しゃくりあげるように泣く私の横で、宮野くんは何も言わずそっと背中をさすってくれた。

「泣いていいんだよ。話せるようになるまで、待つよ。」

背中に触れる手はとても大きくて、温かい。

優しいぬくもりに、次第に心が落ち着きを取り戻していった。