桜色の歌と君。

五時間目の終わりを伝えるチャイムが鳴った。

考えれば考えるほど不安の渦に飲み込まれ、足がすくんでしまった。

授業が終わっても席を立てないでいると、「花咲さん。」と宮野くんの声が鼓膜を優しく震わせた。

宮野くんは心配そうに私を見ていた。その顔があまりにも優しくて、今すぐ泣き出してしまいそうになる。

「ずっと苦しそうな顔してたけど、大丈夫?具合が悪いというより、何か考え込んでるように見えたけど。」

どうして。

どうして宮野くんは、何もかもわかってしまうのだろう。

何か、言わなきゃ。

口を開いても、言葉が出てこない。

何か言ってしまったら、本当に泣いてしまいそうだった。

それほどに心が弱ってしまっていた。

宮野くんの優しい目はいつだって容易く、私の心を柔く、脆くしてしまう。

「ちょっと待ってて。」

宮野くんは立ち上がると、「高山さん。」と千草ちゃんに声をかけた。

「花咲さん具合悪そうだから保健室に連れて行くね。先生に説明しておいてもらえるかな。」

「わかった!」千草ちゃんが応えると、「高山さんが付き添った方がいいんじゃない?」と誰かが口を挟んだのが耳に届く。

「私、保健室の場所わからないから。」少し慌てたように千草ちゃんが言葉を返す。

「ん、僕はこの前行った事あるから、適任だと思って。じゃ、よろしくね。」

宮野くんは戻ってくると、「立てる?」と優しく声をかけてくれた。

「ごめん。ありがとう。」消え入るような声で返し、立ち上がる。

申し訳なさと、感謝で胸がいっぱいになり、感情がぐちゃぐちゃで、頭がおかしくなりそうだった。