宮野くんはしばらくそうしていると、ゆっくりと口を開き、空へ浮かべていくように言葉を並べ始めた。
「綺麗だなと思った景色とか、うれしいと感じたこととか、そういう、花咲さんにとって大切な瞬間を言葉にするのはどうかな。写真とか絵と同じだよ。自分の大切にしたい、忘れたくない瞬間を、切り取って形にするみたいな。」
「大切にしたい、忘れたくない瞬間。」
言葉を反芻すると、胸につっかえていたものがするっと解かれたように感じた。
宮野くんの説明はすごくしっくりときて、素直に心に届く。
視線を下ろし、私の方に顔を向けた宮野くんが、ふわりと笑った。
「こんな感じで、大丈夫?」
聞かれた私は口角を上げて、強く頷いた。
「ありがとう。すごく参考になった。」
「本当?なら良かった。」
その時、見計らったかのようなタイミングでチャイムが鳴った。
私たちは同時に立ち上がる。
「午後も頑張ろう!」
軽やかな音が鳴りそうなグータッチを交わし、屋上を後にした。
「綺麗だなと思った景色とか、うれしいと感じたこととか、そういう、花咲さんにとって大切な瞬間を言葉にするのはどうかな。写真とか絵と同じだよ。自分の大切にしたい、忘れたくない瞬間を、切り取って形にするみたいな。」
「大切にしたい、忘れたくない瞬間。」
言葉を反芻すると、胸につっかえていたものがするっと解かれたように感じた。
宮野くんの説明はすごくしっくりときて、素直に心に届く。
視線を下ろし、私の方に顔を向けた宮野くんが、ふわりと笑った。
「こんな感じで、大丈夫?」
聞かれた私は口角を上げて、強く頷いた。
「ありがとう。すごく参考になった。」
「本当?なら良かった。」
その時、見計らったかのようなタイミングでチャイムが鳴った。
私たちは同時に立ち上がる。
「午後も頑張ろう!」
軽やかな音が鳴りそうなグータッチを交わし、屋上を後にした。
