桜色の歌と君。

放課後の大半を中間試験の勉強に充てる一方で、昼休みの屋上ではそれぞれが好きなことをして過ごすようになった。

宮野くんは相変わらず歌を口ずさみ、私は図書室で借りた本を読み進めた。

梅雨入りすれば屋上で過ごすことができる時間も減るだろう。それを思うと寂しさで胸が滲みる気持ちだったが、そんな気分も一瞬にして晴れやかになるほど、屋上で過ごす日々は楽しかった。

きりの良いところで本を閉じて、固まった体を起こすように大きく伸びをした。

漂う空気は、日に日に太陽の匂いを色濃く吸い込んでいるように感じる。

宮野くんは音楽プレイヤーを操作しながら、次の曲を選んでいるようだった。

風になびく髪が、太陽の光を集めたみたいにキラキラと輝く。