桜色の歌と君。

放課後、三年生の教室に図書委員は集められた。千草ちゃんと緊張しながら一番後ろの席に座ると、前の方の席に座っていた昴さんが私たちの姿を見つけて手招いた。

ドキドキしながら前の方へ行き、昴さんの後ろの席に二人で並んで腰かける。

上級生の雰囲気に圧倒されながら私たちは委縮して小さくなっていた。

「そんな緊張しなくても大丈夫だよ。」

相変わらず表情に変化はないが、関わるうちに昴さんの心根が優しいことを知った。

昴さんに声を掛けられた千草ちゃんは余計緊張したようで、顔を真っ赤にして俯いてしまっている。

役割決めの末、千草ちゃんは私の狙い通りにカウンター班に決まり、担当の曜日も昴さんと同じになった。私は心の中でガッツポーズをした。一方私は、本が好きだという言葉を優しい先輩にすくい上げてもらい、本棚の整理や、返却本を棚に戻す書架整理班になった。

「二人とも頑張ってね。」

口元で笑って去っていく昴さんはやっぱり大人びていて、千草ちゃんが心惹かれる気持ちがわかる気がした。

「小春ちゃんありがとう。私、頑張る。」

瞳を潤ませ、うれしさをいっぱいに滲ませて言った千草ちゃんに、私は「頑張って!」と力強く頷いた。