桜色の歌と君。

千草ちゃんが喜ぶ姿が目に浮かんで、うれしい気持ちで胸がいっぱいになる。

「どうしたの?」

宮野くんの声に、はっとして顔を上げる。

「すごく優しい顔してた。」

そう言って微笑む宮野くんの方が、多分何十倍も優しい顔をしているはずだ。

「千草ちゃんのこと考えてた?」

宮野くんには何でもお見通しのようだった。

「素敵な友達が出来て良かったね。ちょっと妬けるけど。」

少し頬を膨らませて、拗ねたような表情を見せた宮野くんに、きゅっと胸の奥を掴まれたような気持ちになった。

なぜだか心臓が苦しくなって上手く言葉を紡げないでいると、「ごめん。」と宮野くんが眉尻を下げてにこりと笑った。