桜色の歌と君。

ホームルーム後、私が宮野くんにお礼を告げるよりも先に、「花咲さん。」と声を掛けられた。

鈴のような可愛らしい声に顔を上げると、私を呼んだ彼女は毛先が緩く巻かれたポニーテールをふわりと揺らしながら微笑んだ。

「高山千草です。図書委員一緒に頑張ろうね!」

花を咲かせるようにして笑った高山さんの眩しさに、思わず目がくらみそうになりながら私は頭を下げた。

「花咲小春です。よろしくね。」

「本当に可愛い名前!小春ちゃんって呼んでいい?」

人懐っこい笑みを見せる高山さんに、「もちろん。」と頷くと、彼女はうれしそうに笑みを深めた。

「私のことも下の名前で呼んでね。」

「わかった。」

「やったぁ。」

宮野くんに負けないくらいに素直に感情を表現する彼女のことが、私はすでに好きになっていた。

顔立ちも可愛らしいが、仕草や性格がとても愛らしくて素敵な子だと思った。

これから一緒に図書委員として活動する仲間が良い子そうと知って、ほっとする。