桜色の歌と君。

水曜日の五限目はロングホームルームに充てられる。

挙手制でクラス委員、文化祭の実行委員会、体育委員会、保険委員会、美化委員会と担当者はそれぞれ希望を出したのがちょうど二人ずつで順調に決まっていき、最後に図書委員に立候補する生徒が数人手を挙げた。私をいれて五名だ。

宮野くんが言ったように、図書委員は本当に人気らしい。

心臓が嫌な音を立て始め、伸ばした手が震える。今すぐにでも譲ってしまいたい思いに駆られるが、宮野くんのことを思うとそういうわけにはいかなかった。

「先生。」

透き通った伸びやかな声が左耳に届く。

横を見ると、宮野くんが天井に向かって腕を真っすぐに伸ばしていた。

「先生もご存じかとは思いますが、うちの図書委員会は仕事量が多いみたいなんです。だからもし委員を選ぶのなら、部活に入る予定のない生徒がいいんじゃないでしょうか。」

「なるほど。それもそうね。今手を挙げた五人の中で、部活動に入る予定のない子は何人かしら。」泉先生が尋ねると、三人が手を下した。

「あら、ちょうど二人残ったわね。じゃあ、二人にお願いしてもいいかしら。」

私が頷くと、書記の女子生徒が黒板に書かれた図書委員という文字の下に、私ともう一人の名前を綴った。