桜色の歌と君。

「図書委員は人気らしいから、明日頑張ろうね。」

宮野くんの言葉に、明日のロングホームルームで委員決めをすると担任の先生が言っていたことを思い出した。

「委員は各クラス二名ずつ選出されるけど、もう一人は遥人がやれば?」

昴さんが言うと、宮野くんは「いやいや」と首を左右に振った。

「俺には向いてないよ。部活も入らないつもりだし。」

「そっか。まあ、帰宅部の方が遥人らしいけど。」

少し残念そうに肩を落とした昴さんを見て、心が和む。一見冷めたように見えるが、実際は素直でわかりやすい人みたいだ。

「すみません、本借りてもいいですか。」

小説を三冊抱えた女子生徒が姿を見せて、昴さんは仕事に戻った。

「じゃあ、また来るね。」そう言って手を振る宮野くんに昴さんは軽く手を上げた。

私も会釈をして宮野くんの背中を追う。