ある日の昼休みに、宮野くんが例の親友の話を持ち出した。
「花咲さん、この前小説借りたでしょ。」
「え、どうして知ってるの。」
「この前話した親友から聞いたんだ。あ、昴っていうんだけど。おすすめの本を借りて行ってくれた人がいたって嬉しそうに話してたから、もしかしてって思って。」
表情の一つも変えずにいた昴さんのことを思い出す。
好きな作家さんの小説をおすすめしたのはやはり彼だったのか。
小さな喜びがぽっと心を灯したと同時に、私がその本を借りたことに対して昴さんが喜んでいたという事実に驚きとうれしさがこみ上げる。
「その本ね、作家さんのデビュー作で、まだ一冊しか本書いていなくて、だから知ってる人がいたのびっくりして、私もすごくうれしかった。」
私の拙い言葉を宮野くんは「うんうん。」と優しく相槌を打ちながら聞くと、「そうだ。」と何か思いついたように言った。
「今度一緒に図書室行こうか。昴のこと紹介するよ。」
というわけで、昴さんが委員の仕事があるという火曜日の放課後に、宮野くんと図書室を訪れることになったのである。
「花咲さん、この前小説借りたでしょ。」
「え、どうして知ってるの。」
「この前話した親友から聞いたんだ。あ、昴っていうんだけど。おすすめの本を借りて行ってくれた人がいたって嬉しそうに話してたから、もしかしてって思って。」
表情の一つも変えずにいた昴さんのことを思い出す。
好きな作家さんの小説をおすすめしたのはやはり彼だったのか。
小さな喜びがぽっと心を灯したと同時に、私がその本を借りたことに対して昴さんが喜んでいたという事実に驚きとうれしさがこみ上げる。
「その本ね、作家さんのデビュー作で、まだ一冊しか本書いていなくて、だから知ってる人がいたのびっくりして、私もすごくうれしかった。」
私の拙い言葉を宮野くんは「うんうん。」と優しく相槌を打ちながら聞くと、「そうだ。」と何か思いついたように言った。
「今度一緒に図書室行こうか。昴のこと紹介するよ。」
というわけで、昴さんが委員の仕事があるという火曜日の放課後に、宮野くんと図書室を訪れることになったのである。
