桜色の歌と君。

ちょうどその時後ろの方の席から「部活どうする?」という嬉々とした声が聞こえて、私は密かに意識を背後に向けた。

「今から何か見学に行く?」

「いいね!どこ行こう。」

「私ダンス部気になるな。」

「あー、わかる。テニスとバドミントンも捨てがたいかも。」

「私は卓球とソフトボールかな。あ、バスケもいいかも。」

見事に三人とも意見が分かれていて、私は思わず苦笑する。

「みんなバラバラじゃん。しかも多いし。」

「来週から仮入部始まるんだよね。」

「そうそう。それまでになんとなく決めたいよね。」

三人の言葉の端々には、期待に満ちたような、楽し気な空気が漂っている。

会話を聞いていると、その楽しそうな雰囲気が伝染して自分も見学に行きたいような気持ちになってくるが、運動はからっきし苦手だ。