帰りのホームルームを終えると、「花咲さん、また明日。」と言って、宮野くんはふわりと立ち上がった。
鞄を肩にかけた彼に「うん、また。」と返す。
他の子たちに挨拶をしながら宮野くんは軽やかに教室を出て行った。なんとなく、彼はこれから屋上へ行くのだろうなと感じた。
恐らくまた空の下で、春の日差しを体いっぱいに浴びながら桜色の歌を歌うのだろう。幸せそうに目を閉じて歌を紡いでいた姿を思い出す。
あんなに夢中になれるものがあるなんて、正直羨ましい。好きなものに対してひたむきな愛情を注ぐ彼の真っすぐさは、私にはとても眩しかった。
私にも何かあればいいのに。
時間を忘れて没頭できるような、今すぐにでもやりたいという衝動に駆られるような何かが。
やはり部活に入るべきだろうか。そうしたら友達もできるかもしれない。
一人でも平気というのは嘘ではないが、友達を作りたいという高校生らしい感情も、もちろん持ち合わせている、つもりだ。
鞄を肩にかけた彼に「うん、また。」と返す。
他の子たちに挨拶をしながら宮野くんは軽やかに教室を出て行った。なんとなく、彼はこれから屋上へ行くのだろうなと感じた。
恐らくまた空の下で、春の日差しを体いっぱいに浴びながら桜色の歌を歌うのだろう。幸せそうに目を閉じて歌を紡いでいた姿を思い出す。
あんなに夢中になれるものがあるなんて、正直羨ましい。好きなものに対してひたむきな愛情を注ぐ彼の真っすぐさは、私にはとても眩しかった。
私にも何かあればいいのに。
時間を忘れて没頭できるような、今すぐにでもやりたいという衝動に駆られるような何かが。
やはり部活に入るべきだろうか。そうしたら友達もできるかもしれない。
一人でも平気というのは嘘ではないが、友達を作りたいという高校生らしい感情も、もちろん持ち合わせている、つもりだ。
