愛してしまったので離婚してください

「これ、俺が預かる。」
検査には貴金属を外さないとならない。
雅は私の左手の薬指にはめていた指輪をそっと外した。

「これから体が動かないように固定するけど、お腹はあんまり締め付けないようにはするから。」
私はすべてを雅に委ねた。

無機質な台の上に体を横にすると、体が動かないように大きなマジックテープが付いた布で体を巻かれる。耳栓をされても、周りの大きな音は聞こえる。
機械の中に台が動いて完全に入るまで、雅の声が聞こえた。

もしも検査中に何かあったら握るようにと、ブザーを握ったまま、あまりの緊張にギュッと目を閉じる。

大丈夫。
雅の声を頭の中で何度も何度も繰り返し思いだしながら、私は無事を祈った。