愛してしまったので離婚してください

「知ってるから苦しかった。あの夜、晶の想いを知ってるからこそ、手を離したくなかった。一度だって、晶と離れたくなかった。でも、ごめん。時間が必要だったんだ。」
抱きしめたまま雅がささやく。

「晶と、俺たちの子を守るために、必要な時間だったんだ。遅くなってごめんな。ごめん。」
寂しかった。本当は苦しくて苦しくて、切なくて切なくて、不安で不安だった。

雅の声が聴きたかった。
雅のぬくもりが欲しかった。

こうして、抱きしめてほしかった。

声をあげて泣き続ける私を抱きしめたまま、雅は何度も何度も謝り続けた。