愛してしまったので離婚してください

「なにか不満でも?」
雅の言葉に思考が現実に戻る。
「いえ。不満はありません。」
「嘘だ。」
雅も心当たりがあることがわかり、私は雅の表情が気になってちらりと視線をあげた。

その瞬間、雅が眉を寄せて何とも言えない表情をしているのが目にはいる。

ニューヨークに来てからどんどんと自信に満ちていった表情が、はじめて自信がなくて不安そうに見えた。

ここで話を止めてはだめだ。
何度も何度もシミュレーションして、雅にさよならするって覚悟を決めてここに来た。

私は再び視線を落として早口に告げる。

「実はもう荷造りは住んでいます。明日の便で日本に帰ります。」
その言葉への反応が怖くて私は言葉を続ける。