愛してしまったので離婚してください

「晶の妊娠には気づいてた。結構早い段階で気づいてたと思う。でも、俺に報告もせず、どんどん表情がぎこちなくなってることに違和感を感じて・・・。ごめん。勝手に晶の行ってる病院の医師から話、聞いた。」
確かに、私が妊娠を知ってからも、雅は忙しい仕事の合間を縫って家に帰ってくれていた。

『体、平気？』
遠慮がちにそう聞かれた日のことを思い出した。
なんのことかと思ったけど、そういえばあの言葉の数日後に妊娠が分かったんだった。

「あの夜、本当は全部言おうかと思ってたけど、準備ができてなかった。晶を守る準備がまだできてなかったんだ。」
いろいろな言葉を雅が飲み込んでいることに気づいていた。

でも、予想もしていなかった。
あの時、雅は私の体のことをすべて知ったうえで・・・何も言わずに・・・
「離婚届は？」
「もちろん、捨てた。」
「・・・なんっ！？」
雅の力が少しだけ弱くなり、私は体を離して雅の表情をみる。