愛してしまったので離婚してください

ニューヨークの部屋。
雅の選んだキングサイズのベッドの上に横になり、そっとお腹に触れると、赤ちゃんの存在はまだ感じられないのに、自分のへその左下に明らかにこりこりとしたものがあるのが分かる。

これが何なのか分からない。

私が選んだ外科では、雅のいる大学病院へ行くことを勧められた。

雅に正直に話をして、診てもらうべきか・・・。
でも、だとしたら雅はきっと責任を感じてしまう。

どんな決断をしたとしても、きっと自分を責め続ける。

自分以外の人を、誰かを、自分を犠牲にしても大切にする雅を知っている。
過労で倒れても、病気やけがをした人を必死に救っていることを知っている。

私の誕生日に、プレゼントを守ってびしょぬれになっていた雅を思い出す。
疲れていて、かなり貴重な睡眠時間を削ってまで私のために家に帰ってくる雅を思い出す。