愛してしまったので離婚してください

「わかりました。まだ母子手帳の交付がまだのようなので、手帳の交付を受けて、通常なら4週に一度の検診を一週間に一度にして様子をみて行きましょう。」
医師の言葉に私は藁にもすがる思いで頭を下げた。

「よろしくお願いします。」
「・・・失礼ですが藤川さんを支えてくださる方は近くにいらっしゃいますか?」
まだ顔を上げ切らない私に医師は質問してくる。
「いえ。いません。私一人でこの子を産みます。」
「・・・厳しいことを言うようですが、この妊娠はかなりリスクが高いです。できればあなたを身体的にも精神的にも支えてくれる存在は必要になってくると思います。今はまだ腫瘍が悪さをしていない状況ですが、おそらく腹直筋の中にあると思われる腫瘍は妊娠によって活性化する血液の循環によって急激に大きくなることも考えられます。」
「はい。」
「今すぐとはいいません。そばで支えてくれるご家族の存在を出産までに見つけることはあなた自身のためでも、お腹の赤ちゃんの為でもありますよ?」
「はい」
医師が言っている言葉は私を考えての言葉だと知っている。でも、私は今誰にも頼ることはできない。