愛してしまったので離婚してください

「このまま妊娠を継続できるかどうかの保証も、どこにもありません。腫瘍の位置からしても、妊娠して母体に負担がかかった時にどの程度影響をするか予測することは検査をしない限りわかりません。」
「・・・はい」
「通常の健康な女性でも妊娠はいつ誰になにが起きるかわかりません。私も産科医として予測不可能な事態に何度も遭遇してきました。」
「・・・」
「そしてこの腫瘍が悪性のものだった場合、母体の危険もかなり大きい。」
「はい」
「だからと言って検査をすることも、位置的にかなり技術のある医師しかできないと思います。うちの病院の外科医にも難しい処置になる。検査をしなければ腫瘍がどういった組織を持っているのか、どの位置にできているのか、エコーでは分かり切らず、MRIでも確認できるかはわかりません。まして、オペになったとしても、妊娠を継続しながらこの腫瘍の除去はかなり難しいと思われます。」
この話はニューヨークの担当医も頭を抱えて何度も話してくれた。

「それでも妊娠を継続されますか?」
「出産を希望します。」
何度言われても私の覚悟はかわらない。この想いは揺るがない。