愛してしまったので離婚してください

体を重ねて初めて私たちの距離がゼロになった時、私は知った。

瞳を開ける。
そこには古いアパートの天井。

ここにはもう雅はいない。
もう会うこともないかもしれない。

今頃・・・雅はどうしているだろうか。

病院から呼び出されているかな。
初めて体を重ねた日も、いつの間にか雅はいなかった。
まだ真っ暗な部屋の中、まだ少しだけ雅のぬくもりが残っているシーツを抱きしめて眠ったことが昨日のことのように思いだせる。

でも一人じゃない。
私にはこの子がいる。
愛する・・・きっと人生でたった一人愛する・・・雅との子が。