玄関から入ってきた雅はひどくびしょぬれだった。
なぜかその手には濡れていない紙袋と、ビニール傘。
そんなに大切なものが入っているのかと思いながら、私は彼にタオルを渡した。
「これ」
タオルと交換するように、雅は私にその濡れていない紙袋を渡してきた。
「え?」
戸惑う私に雅はびしょぬれの頭をタオルで拭きながら言う。
「誕生日、おめでとう。」と。
私は紙袋の中をみる前から、涙が止まらなくなった。
いつもは我慢できていた涙。雅に涙を見せたことはない。
雅の前で泣いても、彼を困らせるだけだと我慢していた。
いつだって涙を流すのは雅の背中が見えなくなってからだった。
なぜかその手には濡れていない紙袋と、ビニール傘。
そんなに大切なものが入っているのかと思いながら、私は彼にタオルを渡した。
「これ」
タオルと交換するように、雅は私にその濡れていない紙袋を渡してきた。
「え?」
戸惑う私に雅はびしょぬれの頭をタオルで拭きながら言う。
「誕生日、おめでとう。」と。
私は紙袋の中をみる前から、涙が止まらなくなった。
いつもは我慢できていた涙。雅に涙を見せたことはない。
雅の前で泣いても、彼を困らせるだけだと我慢していた。
いつだって涙を流すのは雅の背中が見えなくなってからだった。



