ニューヨークから運んだ荷物は簡単に部屋の中に納まった。
まだ机も椅子も、ベッドもないこの部屋。

徐々に必要なものだけ増やしていく。
日本でも和訳や通訳の仕事を続けていくつもり。ニューヨークにいた時よりも、本腰を入れてやっていかないとと、最近その準備も始めた。

妊娠中の私は体を使った仕事は無理だ。
ましてこの体がいつ悲鳴を上げるかもわからない。
でも、通訳できるという強みがある。
ニューヨークでこの5年間、現地のリアルな英語を学べたことも今の私にはプラスだ。

この体がちゃんと動くうちに、やっておかなければいけないことが山ほどある。

私は部屋の真ん中に、仰向けに横になった。

目を閉じてそっとお腹に触れる。
まだ、ここに命が芽生えていることに実感はわいていない。