「よしっ!」
周りの人に聞かれないぎりぎりの声量で自分に喝を入れてから私は空港をあとにした。

空港から地下鉄を乗り継いで、これから住むアパートについた。
そこには管理会社の人がすでに待機をしていて、実際に部屋に入り説明を受けて、書類にサインをした。

こういう時、結婚しても変わらなかった自分の苗字に初めて便利だと思った。
離婚届をまだ提出していない私たち。これから手続きもしなくてはと思いながら管理会社からカギを預かり、私は業者に連絡をした。

誰もいなくなった部屋をもう一度見て回る。
ここで、新しい命を抱く日は来るのだろうか。

私だって不安だ。
未来が信じられない。

でも、絶対に守るという強い思いは感じている。