愛してしまったので離婚してください

「採血の用意して。」
「はい」
雅の指示にすぐに動き出す看護師。

「晶」
雅は私の方を見ながら真剣な表情で説明を始めた。

「まだ血液検査の結果を待たないと確信はもてないけど、たぶん筋肉内にできた腫瘍の周りの組織が炎症を起こしてる。腫瘍の大きさが前よりも大きくなっているのは周りに血腫ができているか、炎症によって内出血しているような状況なんだと思う。」
「・・・悪いの?」
「妊娠していても使える抗生物質を投与して炎症を抑える必要がある。たぶん晶が感じている痛みは筋肉が炎症を起こしているからの痛みだと思うんだ。」
雅の説明に聞き入る私。

「今日、ここに急遽集まってくれた医師も看護師も、これからチームで晶をサポートしてくれるメンバーなんだ。この一週間、このチームで軽症から重症までいろいろなオペを経験した。チームとしての力がかなり上がって、連携もできはじめてる。」
私は改めて診察室にいる医師や看護師の顔を見た。