愛してしまったので離婚してください

「かっこいいね」
私たちが選んだのは黒いファミリーカー。7人乗りで、ゆったりと乗れる。
この車を決めるときに、雅は実は釣りやアウトドアが好きだと教えてくれて、いつか家族で行きたいという願いも込めて大きめのタイプにした。

二人で何かを選ぶ時、何となくお互いの好みが似ているという気がしていた私たちは、やっぱり似ていることを確信した。

車を前にして少し気がまぎれる私。
「だろ？昨日病院に納車に来てもらったから、晶はまだ乗れてなかったもんな。助手席に誰かが乗るのは初めてだ。」
そう言って助手席に案内してくれる雅。
「なるべくお腹に力をかけないようにしたいから、座ってから俺が座席倒す。」
私の体を支えて、なるべく腹圧をかけないようにしてくれる雅は、私が座ってから座席を倒し、シートベルトつけてくれた。
「どうですか？新車の乗り心地は。」
雅も私の緊張をほぐそうとしてくれている。