愛してしまったので離婚してください

「・・・っ・・・」
まだ、痛みはあって力をかけると痛む。
「痛いな。ごめんな。」
まるで自分の体が痛んでいるような表情の雅につかまりながら私は立ち上がる。

雅は私の体に負担がかからないように、靴まで履かせてくれた。

多分痛んでいるのは赤ちゃんが原因じゃなくて、腫瘍が原因だと自分でもわかる。
その証拠にお腹に力をかけると痛む。

「俺に寄りかかっていいから。」
玄関から出た私を雅はがっしりと支え力をかけないようにしてくれている。
「晶、車に乗るのはじめてだな。」
「・・・そうだね」
昨日納車になったばかりの車は、雅と二人で選んだファミリーカー。
雅が車の運転ができることは知っていたけれど、意外と車に詳しくてあれこれ雅が教えてくれる情報とデザインのリストから二人で選んだ。
思えば、大きな買い物で二人で相談をして選ぶということがなかった私たちには新鮮だった。