病院から帰ったのは午前中。
でも気づけばあたりが夕陽色に染まってる。

私を抱き締めている雅も、何かをずっと考えているようだった。

こんな顔させてごめんね。
こんな想いをさせてごめんね。

こんな妻でごめんね。


何度も何度も心のなかで繰り返す。
口に出せばもしかしたら少しは自分の心が楽になれるかもしれない。

でも私がこんなことを口に出せば、雅が苦しくなるだけだ。

言葉にできない想いの分、涙が溢れて止まらない。

私の瞳から涙が溢れる度に雅がそっと大きな手で拭ってくれる。

その手の温かさにまた新しい涙が溢れることの繰り返しだった。