愛してしまったので離婚してください

狭い部屋の中からは雅の姿を布団の中からでも簡単に目で終える。

雅は布団から出るとすぐに、部屋のカーテンをすべて開けて少し窓を開けると、キッチンへ向かってお湯を沸かし始めた。
雅が日本に来てくれて一緒に生活をしてから、初めて見る雅の姿の連続だった。

ニューヨークでは雅は食事した食器を下げる時くらいしかキッチンに立つことはなかった。
そもそも料理をしたり、何か調理をする時間はなかった雅。
それが今では私以上にこの部屋のキッチンに立っている。

背が高い雅には明らかに小さく低すぎるキッチン。
油断してキッチンの換気扇に頭をぶつけそうになる姿も新鮮だ。

新しく知ったのは雅が料理上手だということも。
つわりがなくても、眠気や体のだるさを感じている私に変わって、率先して家事をこなしてくれる雅は、家事をしていても器用で要領よくこなしてしまう。