愛してしまったので離婚してください

「寂しい思いをさせた分、これからは離れない。晶のそばで、この子と3人で一緒にいる。今までの分も、今、晶を甘やかしたくて仕方ないんだ。」
大きな、素敵な愛の告白の言葉にも私は素直に喜べない。

もしも、もう一度時を戻せるのならニューヨークで雅と話がしたい。
もしも、もう一度時を戻せるのなら雅の思いをちゃんと知って、妻としてサポートしたい。

戻せない時間を後悔しながら思い浮かべるのは、離婚を伝えたレストランでの雅の何とも言えない表情だった。
自信の無さそうな…不安そうな表情…。

「どうした?どこか痛むか?」
急に泣き出した私に雅が戸惑う。
「私、だめな奥さん過ぎて恥ずかしい。この5年なにもできてないのに…また迷惑かけちゃう…自分が嫌すぎる…。」
私の言葉に雅はなぜかふっと微笑んで、私を自分の胸のなかに包み込んだ。