「晴さん…
今日、一緒にいてくれて
ありがとう」
宙くんは
私を抱きしめながら
そう言った
「それは、いつも私の台詞で…」
ありがとうって
何度言っても足りないくらい
私は宙くんに支えられてる
ごめんねって
何度謝っても
宙くんに出会う前に戻れないよ
宙くん
ホントに後悔してない?
「晴さん…
今日、オレ誕生日だった」
「え?」
「ありがとう
会いに来てくれて…」
「言ってよ!
知ってたら、ケーキとか…」
「オレ、甘いの苦手
ケーキ食べれない」
「え、じゃあ他に…」
私じゃない誰かと
会わなくてよかったの?
「何もいらない
…
晴さんがいてくれたら…」
宙くんが私をきつく抱きしめた
宙くん
今日は
寂しくない?
「宙くん、誕生日おめでとう」
「ありがとう…
…
晴夏…」
晴夏…
宙くんの声が
優しく心に響いて
自分の名前が少しだけ嫌じゃなくなった
ありがとう
宙くん
来年の誕生日
宙くんは
誰と抱き合ってるかな?
宙くん
誕生日おめでとう



