「晴夏…」
耳元でそう聞こえた
晴…でも
晴さん…でも
なかった
「晴夏…」
宙くんの声
「夏生まれなの?」
「うん、夏生まれ」
「次の夏まで覚えとくね」
次の夏…
あの人が亡くなって
2度目の夏
次の夏も
あの人を忘れることはできないのかな?
たぶん
できない
「宙くんは?
宙くんの誕生日は?」
「ん…?オレは…
あ…プロフィールの年齢変えなきゃ…」
お互いの誕生日も知らない
はっきりとした日にちも確認しない
きっと
その日が来たら思い出してしまうから…
宙くんは
私と出会ってから
誕生日を迎えてたんだ
いつだったんだろう
その日は何をしてたんだろう
その日は誰と一緒にいたんだろう
プロフィールの年齢変えなきゃ…
やっぱり他に誰かと会ってるのかな?
次の夏まで…
宙くんは
私を抱きしめてくれてるかな?
私の前から
いなくなってるかもしれない
「オレは、好きだな…夏
…
晴さんに出会えたの
夏だったから…」
季節は夏から
冬になってた



