僕等はきっと、満たされない。


「どーぞ…」



「いただきます」



何もなかったみたいに

テーブルに座った



『晴』

マッチングアプリのプロフィール名



私の本当の名前は『晴夏』(はるか)だった



『晴』だったから私を選んでくれた

宙くん



少し罪悪感を感じた



『晴夏』にしてたら

私は宙くんに選ばれてなかった



宙くんに出会ってなかった

ここに宙くんはいなかった



今更言ったら

宙くん

ショックかな?



私のこと

嫌いになるかな?



宙くんに

もぉ会えなくなるかな?



宙くんを

たくさん裏切ってる



『晴』

宙くんの純粋で綺麗な思い出を

私は裏切ってばかりいる



「晴さん、ごめん…さっき…」



謝らなきゃいけないのは

いつも私なのに…



「ん?んーん…
オムライス、味、大丈夫?」



「うん、おいしい」



「よかった」



宙くんの笑顔を見たら

言えなかった



私の本当の名前