「もう少しでできるから待っててね」
宙くんは私の隣で
卵をかき混ぜるのをジッと見てた
「もぉ…失敗するから見ないでよ
宙くん何か話して…
無言だと、緊張する」
「んー…
晴さんに
恥ずかしくて言えなかったことがある」
「なに?」
「晴さんを選んだ理由
前に聞かれたけど、あやふやに答えた」
「ん?そーだっけ?」
「晴さんを選んだ理由
ホントは
初恋の子が『晴』っていう名前だったから
字も同じ、晴れる『晴』」
「そーなんだ…
あ、あの中学の時、初めてキスした子?」
「うん…覚えてた?
恥ずいから、忘れて…」
「ぜんぜん恥ずかしくなんてないよ
宙くんの初々しい思い出の子でしょ」
「だから…やめて…」
本気で恥ずかしそうな宙くんが
かわいくて笑った



