「晴夏
京都の桜が咲いたら見に行こう」
「うん」
「それを待って
日本を発とうと思ってるけどいいかな?」
「うん」
宙について行く準備はできた
ひとりにしないよって
言ってくれた宙について行く
私の近くの桜の蕾も色付き始めた
「晴夏…
手、かして…」
宙が優しく私の左手をとった
宙が触れた私の薬指がキラキラ光った
「晴夏
オレと結婚してください
…
幸せにするから…」
目の前にいる宙が滲んだ
「宙…」
「京都に寄って
晴夏の好きなお香も買って行こう
…
会いたくなったら
いつでも帰って来よう
…
だから
オレについて来てください」
私を真っ直ぐ見て
言ってくれた
「宙…
…
宙と幸せになりたい
…
あの人が
いいって言ったから…
…
宙と笑ってたい
…
宙…
一緒に連れて行ってください
…
どこまでも
ついて行くね…」
京都の春夏秋冬を
私に魅せたいって言ってくれた
宙
あの人の香りを
持って行こうって言ってくれた
宙
忘れなくていいよ
忘れちゃダメだよって
いつもあの人のこと
思い出させてくれる
宙
きっとあの人も
喜んでると思う



