寒い冬も
オレと君は
友達の彼女の友達
変わらない関係だった
アレから話す機会もなくて
夏の日
君に初めて話し掛けた場所で
また君を見かけた
君は空を見てた
雪が降ってた
君の白い息が
寒空に上がった
「寒いね」
オレに気付いて
君から話し掛けてくれた
「アイスは好きなのに
寒いの苦手なの?」
「あ、覚えてた?」
君が笑った
温かくなる
「寒いのと暑いのどっちが苦手なの?」
「どっちも苦手
雅は?」
「んー…オレは夏がいいかな…」
どちらでもよかったけど
君の名前が晴夏だから
「私は春
春が好き!」
「その選択肢があるならオレも春かも…
春が好きかも…」
言ったあと
ドキッとした
春が好きかも…
晴が好きかも…
君を見たら
気にしてなさそうだった
「帰ったらアイス食べよ」
オレ
晴が好きなのかも…
「今日は何個アイス食べるの?」
「寒いから1個」
「オレは、おでん買って帰ろうかな」
「あ、いいね!
何が好き?
私は、ちくわぶ!」
「あー、白いヤツ?
オレは、牛スジとタコ」
「それ、おでん?」
「うん
うちの方は必ず入ってた
あと、オレはそんな好きじゃないけど
鯨とか、湯葉とか…
こっちのコンビニには売ってないよね」
「え?
がんもとか大根とか玉子じゃなくて?」
「それも食べるけど…」
「雅、そぉ言えば日本語になってる!」
「もともと日本語だけどね」
ふたりで笑った
「雅じゃないみたい」
「変?」
「うん、なんか変
私に合わせてくれてるの?」
「そーゆーわけじゃないけど…」
君に笑われるのが
なんとなく恥ずかしかったから
「あ!うち来たらアイスあげるよ」
「え…」
「昨日いっぱい買ったから…
一緒に食べる?」



